くしゃみをした瞬間に尿がもれる
「くしゃみをした瞬間に尿がもれる」
「走ったりジャンプしたりすると心配」
「重いものを持ったときに少しもれてしまう」
「プール、お風呂の後に、お湯もれする」
このような症状は、女性では決して珍しいものではありません。
特に出産後や40〜50代以降になると増えてくるのが、腹圧性尿失禁です。
今回は、尿もれの原因と治療、そして当院で行っている「ウルトラフェミー」などのエネルギーデバイスを用いた治療について、最近の研究も含めて解説します。
なぜ、くしゃみをすると尿がもれるの?
咳やくしゃみ、運動、ジャンプなどでお腹に力がかかったときに尿がもれる状態を「腹圧性尿失禁」といいます。
女性の尿道や膀胱は、骨盤底筋や周囲の結合組織によって支えられています。
・妊娠・出産
・加齢
・閉経による女性ホルモンの低下
・骨盤底筋の機能低下
・肥満
・慢性的な咳や便秘
などによって骨盤底の支持力が低下すると、
腹圧が上がったときに尿道を十分に閉じることができず、尿もれが起こりやすくなります。
尿もれの治療にはどんなものがある?
軽度の腹圧性尿失禁では、まず骨盤底筋トレーニングが基本となります。
症状や程度によっては、薬物療法、尿道への注入治療、手術などを検討することもあります。
一方、近年注目を集めているのは、腟から熱エネルギーを加えることで腟壁やその周囲組織に働きかける治療です。
当院では、その選択肢のひとつとしてウルトラフェミーを導入しています。
ウルトラフェミーとはウルトラフェミーは、腟内に専用のハンドピースを挿入し、高周波(RF)と超音波のエネルギーによって、腟壁を、熱刺激によるコラーゲンリモデリングなどを介して、腟壁の弾力やタイトニングを促すことを目的としています。
メスを使う手術とは異なり、切開を伴わないことが特徴です。
尿もれだけでなく、
・腟のゆるみが気になる
・お風呂のあとに腟からお湯が出てくる
・出産後、腟の感覚が変わった
・年齢とともにデリケートゾーンの変化を感じる
といった悩みをきっかけに相談される方もいます。
「尿もれに本当に効果があるの?」―研究ではどうなっている?
ここはとても大切なところです。
腟にエネルギーを加える治療については、レーザー、RF、高密度焦点式超音波(HIFU)など複数の方式があり、現在も研究が進められています。
特に最近、腟HIFUと尿失禁について興味深い報告が出ています。
2024年:尿失禁女性28人を対象としたHIFU研究
女性の尿失禁患者28人を対象とした研究では、腟HIFU治療後6か月で、尿失禁の程度を評価する国際的な質問票「ICIQ-SF」が有意に改善しました。
対象者の内訳は、
・腹圧性尿失禁(SUI)18人
・混合性尿失禁(MUI)10人
でした。
治療6か月後には、全体の43%で尿失禁が消失したと報告されています。
さらに腹圧性尿失禁のグループでは、67%で尿失禁が消失していました。
重篤な有害事象は報告されず、4人に軽度の帯下がみられましたが、1週間以内に改善しています。一方、この研究は28人という小規模研究で、治療を受けなかった人と比較する対照群もありません。そのため、この数字だけから「HIFUを受ければ67%の方の尿もれが治る」と考えることはできません。
つまり、
「エネルギーデバイスなら何でも尿もれが治る」
ということではありません。
治療法ごとにエビデンスを評価する必要があります。
尿もれは、まず「何が原因か」を診断することが大切です
一口に「尿もれ」といっても、すべて同じ病気ではありません。
くしゃみや運動でもれる「腹圧性尿失禁」のほか、
・突然強い尿意が起こって間に合わない「切迫性尿失禁」
・腹圧性と切迫性の両方がある「混合性尿失禁」
・膀胱瘤など骨盤臓器脱を伴っている場合
などがあります。
当然、適した治療も異なります。
当院では、まず婦人科的に状態を確認したうえで、骨盤底筋トレーニングなどの標準的な治療から、ウルトラフェミーを含む自由診療まで、それぞれのメリットと限界をご説明して治療方法を選択します。
「少しだから仕方がない」
「出産したから当然」
「年齢のせいだから」
と我慢する必要はありません。
くしゃみや運動のたびに気になる尿もれは、程度が軽いうちから一度ご相談ください。
【参考文献】
High-intensity focused ultrasound (HIFU) for the treatment of female urinary incontinence: A retrospective analysis. 2024. PMID: 39465710.










