茶色いおりもの
茶色いおりものが続く:原因と受診の目安
「茶色いおりものが続いて心配」 「生理なのか不正出血なのか分からない」
このような不安で受診される方はとても多く、婦人科ではよくみられる症状です。
茶色いおりものの多くは緊急性はありませんが、放置がよくないケース もあります。
ここでは、婦人科専門医の視点から、原因と受診の目安について分かりやすく解説します。
1. 茶色いおりものとは?
茶色いおりものは「どこかで少量の出血が起きている」サインです。
2. 茶色いおりものの主な原因
① 生理の始まり・終わりに伴うもの(最も多い)
生理の前後は、少量ずつ子宮内膜が剥がれるため、茶色いおりものが出やすくなります。
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数日で消える
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痛みは少ない
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毎周期ほぼ同じパターン
といった特徴があれば、自然な生理変化の範囲です。
② 排卵期の出血
排卵のタイミングで、ホルモン変化によって少量の出血が起こることがあります。
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月経開始日から約2週間後
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1〜3日で治まる
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軽い下腹部痛を伴う場合あり
排卵のたびにくる方もいます。
③ ホルモンバランスの乱れ
ストレス・過労・睡眠不足・急激なダイエットなどで、ホルモンが揺らぐと、内膜が不安定になりやすく、
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茶色いおりものがダラダラ続く
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生理周期が乱れる
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出血が止まらない
などの症状が出ます。
特に20〜40代で多い相談です。
④ ピル・ホルモン剤の副作用
特に多い例はこちら:
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ヤーズ/ヤーズフレックスの開始直後
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LEPの飲み始め
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ディナゲスト(ジェノゲスト)内服中
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HRT(ホルモン補充療法) の初期
薬の特性上、数ヶ月は茶色いおりものや不正出血が続くことがあります。
“長く続く=合っていない”とは限りません。
薬剤の調整で改善できます。
⑤ 子宮頸部のトラブル
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子宮頸管ポリープ
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子宮頸部びらん
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軽い炎症や感染
などで、摩擦や性交後に茶色いおりもの・少量出血が出ることがあります。
⑥ 子宮内膜症・子宮腺筋症
内膜症の方は、
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生理前の茶色いおりもの
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生理後の長引く出血
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強い生理痛
が特徴的です。
毎月同じタイミングで症状が出るなら要注意。
⑦ 子宮筋腫
筋腫の位置によっては、内膜が不安定になり、不正出血や茶色いおりものが続くことがあります。
⑧ 妊娠初期の出血
妊娠のごく初期は、着床時の出血が茶色く見えることがあります。
特に以下の症状がある場合は妊娠検査が必要です:
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生理予定日を過ぎている
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下腹部の張り
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だるさ・眠気
⑨ 無排卵周期
排卵が起きないと、内膜が不安定で
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茶色い出血が長く続く
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軽い出血が断続的に起きる
などの症状が出ます。
PCOSの方に多いパターンです。
⑩ まれに注意が必要な疾患
頻度は高くありませんが、下記の可能性もあります。
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子宮内膜増殖症
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子宮体がん・子宮頸がん
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萎縮性腟炎(閉経周辺)
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重度の感染症(クラミジアなど)
特に 45歳以降の不正出血は必ず受診 を推奨します。
3. 受診の目安(婦人科としての推奨)
✔ 以下に当てはまる場合は受診をおすすめします
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茶色いおりものが 1週間以上続く
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生理と関係のないタイミングで何度も起きる
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下腹部痛・腰痛を伴う
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不正出血が増えてきている
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妊娠の可能性がある
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ピル・ホルモン剤を使っていて、不安な症状がある
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40代以降で繰り返す
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性交後出血がある
放置してよいものなのか?治療が必要なのか?
婦人科なら、内診・超音波でほぼ原因が分かります。
4. クリニックでの検査と治療
当院では、症状に応じて下記の検査を行います。
● 検査
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経腟超音波(子宮・卵巣の状態を確認)
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子宮頸がん検診
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感染症検査(クラミジア・淋菌など)
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ホルモン検査
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妊娠検査
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内膜の状態チェック
● 治療
原因により
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ホルモン治療
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ピル調整
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抗生剤
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炎症治療
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更年期治療(HRT)
など、適切な治療を選択します。
5. よくある質問(FAQ)
Q. 茶色いおりものは病気ですか?
A. 多くは生理前後や排卵期の生理的な変化です。
ただし「続く」「繰り返す」場合は何かのサインです。
Q. 放置して大丈夫?
A. 一時的ならOKですが、1週間以上続く場合は受診推奨です。
Q. ピルを飲んでいても出ますか?
A. はい。特に開始〜3ヶ月は不正出血が出やすいです。
6. 最後に(受診の案内)
茶色いおりものは軽い症状に見えて、
ホルモンの乱れ・子宮の異常・感染症・妊娠初期など原因は多様です。
不安なまま過ごすより、早めに婦人科で診察を受ければ
原因の特定 → 適切な治療 → 症状改善
までがスムーズです。
気になる症状があれば、いつでもご相談ください。










